江戸凧ってどんな凧?
実は、「江戸凧」と言う凧はありません。
昔、東京は「江戸」と呼ばれていましたが、江戸で作られ、江戸で良く揚げられていた「凧」。
つまり江戸から伝わる東京の伝統凧と言う意味です。
日本には各地に古くから伝わる伝統凧が数多く有ります。
地域によって呼び方も違います。
「たこ」が一般的ですが、「はた」「てんばた」「とんび」「いか」などと呼ぶ所も有ります。
現在「江戸凧」と言うと「江戸角凧」の事を指す場合が多いようです。
江戸っ子風に言葉を縮めて「江戸角(えどかく)」などと言ったりします。
角凧とは長方形や正方形の凧のことです。
国内各地に角凧は有りますが、地域によって縦と横の比率が違ったり、骨組みが違ったりします。
江戸角凧は東京の伝統的な長方形の凧のことです。
長い「うなり」を頭に乗せ、長い「糸目」を付けて揚げるのが特徴です。
江戸時代に大流行して以来盛んに揚げられるようになり、現在まで受け継がれています。
江戸角凧 「義経八艘飛」 鴾幹作
「うなり」とは丸竹や割り竹で作った弓矢の弓のようなものに
籐(とう)をテープ状に裂いたものを張り、それを凧の上部に取り付け、
籐が風で震える音を聞くというものです。
昔は籐の代わりに鯨の髭を薄く裂いたものや、動物の皮なども使われたようです。
また子供凧では平ゴムを弓に張って鳴らしたり、一番上の反り糸に紙のうなりを付けて音を出したりしました。
これが 『うなり』 です。
凧の上に突き出ている長い棒のような物が「うなり」です。
このように凧に取り付けて揚げます。
「糸目」は凧に付けてある糸のことで、この糸の調節が合っていないと凧は揚がりません。
江戸角凧の場合、糸目の長さはその凧の縦の長さの20倍を目安に、
好みによってはそれ以上長く付ける場合もあります。
糸目の本数は14本、または17本、凧が大きくなればそれ以上の本数を付けます。
しっぽは付けずに揚げます。現在はこのしっぽ無しのスタイルが主ですが
昔は糸目を短くして荒縄の長いしっぽを付けてあげました。
「江戸角凧」は別名「江戸錦絵凧」とも呼ばれ、
やや縦長の長方形の凧に何十色もの染料、顔料を使い、
錦絵のような武者絵や歌舞伎絵などの凧絵が描かれます。
絵は浮世絵や歌舞伎、また昔から伝わる逸話や物語りなどを題材に描かれる事が多かったようです。
江戸文字や髭文字だけの粋な字凧などもあります。
江戸角凧 「五条大橋」 鴾幹作
江戸字凧 「纏(まとい」 鴾幹作
江戸字凧 「龍(りゅう」 鴾幹作
江戸字凧 「蘭(らん」 鴾幹作
江戸角凧 「雲龍(くもんりゅう」 鴾幹作
江戸角凧 「鏡師子(かがみじし」 鴾幹作